土田英生氏が気になる
2006年03月26日 (日) | 編集 |
土田英生氏は、すごく気になるシナリオライターだ。
去年9月の嵐相葉雅紀主演の舞台「燕のいる駅」が彼の作品だ。
もともと彼の所属する京都の劇団MONOのオリジナルを、演出家の宮田慶子氏が依頼し、土田英生氏が書き直した。。。贅沢なことに、相葉雅紀のために書き下ろしたシナリオだ。

そして、リリーフランキーの「東京タワー」のドラマ化でシナリオを書く。これは、北海道の星大泉洋ちゃんが主演な上、先日亡くなった久世光彦氏が演出をする予定だったんだ。
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~


しかも4月からのドラマ「HAPPY!」のシナリオも土田氏だ。
それにはカツンのジュンノも出てる。。。。とっても気になる。
「燕のいる駅」は2085年の日本の話だ。
第3次世界大戦が終わり、日本は大きく変わっている。人種差別が激しくなり、それまで共生していたはずの外国人は、赤いバッジをつけなければならない。強制収容所に送られてしまう。
そして、太陽の光を浴びではいけない。環境も汚染されている時代だ。

そんな日本のある駅で駅員をやっている高島。
彼はとっても優しくて呑気な男だ。一緒の駅で働く榊原さんと言う女の子(この役を、映画「1リットルの涙」の大西麻恵ちゃんがやってる。)のことを大好きなのに誘えない。
でも、燕の巣の中のヒナたちの「優しいお兄さん」になって守ってやろうと、白いガウンも着ないで、日差しの下で巣を移動させようとしたりする。
友達のローレンコ二郎を兄のように慕っているが、彼に外国人の血が流れていて大きな苦悩を抱えていることにも気付かない。

その日はいつもと違う。
いつもくるはずの電車が事故でこない上、特急電車が臨時停車をする。
隣の駅の駅長が電車に飛び込み自殺をするという列車事故が起こったからだ。
でも、高島はお世話になった隣の駅長が、自分の娘の結婚相手が外国人であると言うことを悩んで亡くなったことも知らない。

いつもは静かな駅も、特急電車から降りてきたお客さんでいっぱいになる。みんな先を急いでいるが次の電車がくるめどは立たず、高島は一生懸命謝り続ける。
本当に、高島は優しく誠実で自分の仕事を一生懸命こなす駅員だ。
そして、その日は朝から、隣町の上にぽっかりと「パンダの形をした雲」が浮かんでいる。

榊原のところに幼なじみの下川辺(岩崎ひろみさん)がやってくる。外国人を排除して行くこの社会に反対した弟に会いに、警察に行ってきた帰りだ。
弟は警察に逮捕されたんだ。
でも、会えないで帰ってくる。
そんな下川辺を励まそうと、榊原と高島は一生懸命元気づける。
「会えますよ。きっと、弟さんに会えますよ。」と何度も。

ローレンコ二郎が何度も駅にやってくる。いつもなら仕事の時間なのに、なんども高島に会いにくる。彼は、強制収容所に行くことが決まったんだ。
その別れを告げに、結婚したばかりの奥さんとふたりでやってくる。もちろん、彼は日本人である奥さんとも別れなければならない。
小さい頃から外国人として赤いバッジをつけてきた彼は、仕事も奪われ生活も奪われ強制収容所へ行く、どうしてもそのことを優しい高島に言えない。
収容所行きのバスが出発する直前になって、やっとローレンコは別れを言う。
高島は泣きじゃくる。
自分が大親友の苦悩も、背負ってきた人生もなにも考えずに、気付かずに、いや気付かないようにして生きてきたことについて、後悔をする。

ローレンコを見送った後、特急電車のかわりに出る逆向きの臨時列車に、高島は「この電車が本日の最終になりますから。」と駅で待っていた乗客を全員乗せて送り出す。
同じ頃、榊原は高島に頼まれたものを買いに、自転車に乗って隣の町へ買い物に出かける。

一人残った高島を、再び下川辺が訪ねてくる。
ふたりが静かに話している時、電話が鳴る。
「戦争が始まった。」という電話だ。
朝からずっと隣町の上に浮かんでいたパンダ雲は、新型爆弾だった。
高島は慌てうろたえる。自分はどうして今まで知ろうとしなかったのかと。どうして楽しいことだけを見つめ、現実から目をそらしてきたのかと。
そして、今の自分にはもう何もできないことを知る。
知らないでいた自分が、ローレンコを強制収容所へ見送り、乗客を、そして大好きな女の子榊原をパンダ雲の下に行かせてしまったことを後悔する。

その時、静かに座っていた下川辺が言う。
「私は、こんな風になるんじゃないかと、知っていた気がします。
弟がいつも言っていたんです。
お姉ちゃん、このまんまじゃだめだよ。このまんまじゃ、この国はだめになるよ。。って。

行列の中を歩いているとね。
自分がどこを歩いているかわからなくなるよ。お姉ちゃん!、、って、あの子言ってましたから。」

二人でこの世界の最期を待ちながら、高島は燕の巣を見に行こうと言う。
燕のヒナたちが最後の光だった。
でも、人間の手にかかり、混乱した親燕が、ヒナを巣から落として殺してしまったことを高島は知る。
最後のシーンは、たった1羽生き残った燕のヒナを静かに手でくるみ、立ち尽くすところで終わる。

MONOの舞台では、実際に人が亡くなっていく。まずは耳が聞こえなくなり眠りが襲ってくる。そうやってこの世の中は最期を迎えて行く。

土田英生氏が気になる。
この舞台を観た時、ものすごいものを見せられた気がした。
民族浄化、新型爆弾。。。今の私たちの目の前にだってすぐやってくる。実際にこの近代社会でナチスは民族浄化を国の政策としてやってきた。
この舞台を観た直後、選挙だった。
自民党圧勝だった。薄ら寒かった。
きみがよの強制だって、香取にしたら薄ら寒い。ひたひたと見えない何かが近付いてくる気がする。
土田氏の舞台はおもしろい。ここかしこに笑いがある。笑いの間もある。人間はいつだって、笑っていたいし幸せでいたい。
高島は優しいし思いやりのある青年だが、知らない、、、気付かないということで、結局多くの人を傷つけてしまう。幸せを願い生きている誠実な青年であるはずなのに。

土田氏の舞台はおもしろい。
最初の場面で高島が駅のベンチに座ると、ベンチから釘が出ているのか「痛い!」と言って立ち上がるシーンがある。ところが、榊原は痛くない。乗客の中にもそのベンチに座って痛い人、痛くない人がいる。
つまりは、外国人は痛くない、日本人は痛いという設定らしい。
その痛みは、気付いているのに気付かないふりをしている日本人への痛みなのかな。
何人かは赤いバッジをつけていないのに痛くない。
外国人であることを隠し、後ろめたい気持ちを持って生きているのか。

「東京タワー」もとっても期待している。
原作も読んでみようと思っている。

コメント
この記事へのコメント
「燕のいる駅」
この舞台、実はとっても行きたくて・・・・
でもチケット取れなかったんだ(TT)
相葉ちゃん、いい舞台もらったよね。
ニノも感謝してたよね。
あー見たかった。
2006/03/26(Sun) 14:26 | URL  | まこりん #HfMzn2gY[ 編集]
ものすごいがんばってたよ。
>まこりんさま
ありがとうございます。コメント。

とにかく内容がすごかった。
香取としては、相○担なんでこれは応援しなきゃ。。。って気持ちで、3回観たわ。爆!
1回目は、あ~~~やってしまった、、、と思うような最前センターでした。ここって逆に緊張するから、貧血とかになってしまうの、私。。。(大ちゃんのtrue westのとき倒れました。)
そして、友達のとってくれた3階席、自分でヤフオクから救出した2階の一般席。
見る度に、心にずしんと来ました。
大西麻恵ちゃんの演技が好きで、それから岩崎さんの最後の台詞には、もう涙ぼろぼろでした。

大阪は取りづらいですよね。回数少ないから。
私も、WSSは母と行こうとがんばったけれど、取れず、必死に一般の3階席取りました。。。厚生年金の3階なんて見えないちゅうねん。

劇団MONOの燕は、すごくさら~~~と淡々と流れて行って、逆にこわいの。
人々がどんどん耳が聞こえなくなったり、眠くなったりして、死に場所を探しはじめる感じになる。
相○ちゃんのは、演出家の方の思い入れが強かったと思う。主演相葉雅紀にものすごい感情的な演技させてた。

香取はお芝居通ではなく、ジャ○の子たちのしか行かないんだけど、去年観た嵐の舞台の中では一番だったよ。実はニノ舞台「理由なき反抗」よりも「エデンの東」よりも。
彼は恵まれてる。いい人たちに。
共演された女優さんと少しだけお話するチャンスがあったんだけど、「垣根のない優しさと、ひたむきさにみんなが引っ張られた。」っておっしゃってた。
彼自身きれいな心の持ち主だからね。
周りは絶対に敵対心を失うんだ。彼の前では。
涙もきれいだったよ。汗も。
2006/03/26(Sun) 18:05 | URL  | 香取 #-[ 編集]
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