日本に戻ってきた香取とたろうが嵐を想い綴る「なまけ日記」
たった一度の卒業式
2020年03月19日 (木) | 編集 |
きっと、二度とこんな卒業式はないだろうなと思います。

北海道は2月26日に急に「臨時休校」がスタートしました。
それまでもずいぶん緊迫していたので、子供達を体育館で遊ばせないようにしたり、給食はグループにしない、1日に何度も何度も手洗いもしていました。もちろん、消毒も。

だけど、その日は急にやってきました。
たくさんの計画がありました。
だって、学校にとって3月は、とても大切な1ヶ月ですから。
私の学年は、6年生のために歌とダンスの練習をしていました。
「6年生を送る会」で6年生と一緒に踊ろうと思っていました。
そのダンスは、6年生が1年生の学芸会で発表したもので、実は私がこの学校に転勤して来た時に見たものでした。その様子が可愛らしくて元気で、「ああ、この学校に転勤してきてよかった。」そう思いました。

だから、今私が担任している子供達とそのダンスを練習して、6年生をびっくりさせようという計画でした。
ダンスの振りを教えてくれたのは、当時担任をしていた先生(彼女の振り付けでした)、放課後の教室で、私は彼女にダンスを習い、そして私の学年の子供達に教えました。

そして、6年生にお兄ちゃんお姉ちゃんのいる子は、絶対に秘密にしていてね。。。そんな約束をして、秘密の練習を重ねていました。(今日の今日まで誰も喋っていなかったようです。)

だけど、「6年生を送る会」は中止。
もちろん、すべてです。
6年生は、どれほど楽しみにしていてくれたでしょう。
ギリギリ間に合った、在校生の大きな寄せ書きを、6年生の教室の前に運びました。
休校に入る1日前でした。

1週間したらまた日常が戻ってきて、そして、6年生は最後の1ヶ月を過ごすつもりだったと思います。
卒業式の練習をして、歌や呼びかけの練習をして、短い時間でどれだけできるか、私たちは何度も計画し直しました。
誰の事も責められないけれど、仕方のないことだけど、
子供達は、お別れ会をすることも、友達とお別れを惜しむ時間も、私に至っては最後に音楽室の掃除を一緒にしたかったし、楽器の手入れもしてほしかった、、、、
全て失いました。
お別れ会だってしたかっただろうに。
最後に学校をピカピカにもしたかっただろうな。
あれもこれも、手放した6年生の子達でした。

今日は卒業式でした。
私は長く、この仕事をしていますが、初めての経験となりました。
保護者の参列しない式。
いつも式場の準備をしてくれる在校生の姿もない。

この休校が本格的になった時、校長先生に呼ばれました。
「香取先生、証書授与の間、ピアノを弾いてもらえるかい?」
そう頼まれました。私の学校の通常の卒業式ではオルゴールの音楽が流れています。
私は大役をいただきました。
6年生は、彼らが2年生の時、私が担任した子たちです。
大好きな子達でした。

ズタボロになって転勤してきた私が「ここは天国か?」と思うほどの、素敵で優しい子達でした。
その子たちのために、久しぶりにがっつりピアノを弾くことになりました。

私たちは、いろんな準備を考えました。
6年生が「6年生を送る会」で割るはずだったくす玉を、式の最後に割ってもらおう。
いつもより、いっぱいいっぱい廊下も教室も飾ろう。
先生たちで、お花をいっぱい作りました。
風船をたくさんふくらませました。
鳥をたくさん、飛ばしました。
桜をあちこちに飾りました。

たくさんいるはずだった在校生も、お父さんもお母さんもいない、その会場が決して寂しくならないように。

私は、6年生の先生や、他の先生たちに何度も何度も証書授与のリハーサルをしてもらい、それが何分かかるのかタイムをとったり、それに合わせて曲を選んだり、実際に動いてもらったり、、、そうやってピアノの練習を何度もさせてもらいました。

最後の最後の子供達の退場場面。
本当だったら、保護者の方達がたくさんいらっしゃる前を堂々と歩いて行くはずだったけれど、そこには誰も座っていません。
その最後の場面は、先生達全員でその場所に移動し、前日にみんなで作った(そう、前日にみんなでいろいろなものを作りました)紙吹雪を子供達にいっぱいいっぱいかけました。

子供達はたくさんのことを、諦めたと思います。
子供達は、何度も何度も「えーー?」って叫んだと思います。
残念だなと思ったと思います。
寂しいなと思ったんだと思います。
私たちは、
ほんのちょっとでも、「うわぁ!」と喜んでもらえたらな、笑顔になってくれたらな。。。と思いました。

私、自分の仕事を決して天職だなんて思っていないし、そんなに子供のこと好きじゃないし、
ずっとそう思いながら、いつも愚痴りながらこの仕事何十年も続けてきましたが、
このコロナ騒動のおかげて、
「ああ、私って、学校好きだったんだな。」と改めて知りました。
そして、
今回の卒業式前に、なんだか楽しく、幸せな気持ちで準備している先生達の姿を見て、この仕事は尊い仕事だったなと思いました。

良いお天気でした。
そして、良いお式でした。
私の心の中に1位として残るくらいの卒業式でした。

私が弾いたのは7曲。
7曲目は、ショパンのエチュード「別れの曲」です。
リハーサルの時から、最後の女の子の名前が呼ばれ、そしてその子の証書が読まれる、そして彼女がたった一人で広い会場を自分のお席に戻る、その間を計算して弾きました。
私の横には、6年生の先生が一人ついてくださって、
「後二人です。○○ちゃん、証書受け取りました。階段おります。」
小さな声で解説してくださる中、弾きました。
私のこの子たちにしてあげられる、最後の仕事でした。

まだ寒い北海道です。
子供達が玄関を出ると、たくさんの保護者さんたちがカメラを持って待っていてくださいました。ちゃんと正装されている方もいっぱいです。
この愛情。

どうすることもできないことでした。
だけど、そんな世界の中でも、ちゃんと幸せは存在するし
きっと
春がこの寒い北海道にもやってくる。
そんな子供達の姿でした。

さて、卒業式の前日に私がデコった6年生廊下です。
どうですか?
これが愛ですよ!

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2020/03/20(Fri) 00:33 |   |  #[ 編集]
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